「米空母艦載機の厚木基地から岩国基地への移駐」に伴う騒音問題に関する質問主意書

(参考資料)
「米空母艦載機の厚木基地から岩国基地への移駐」に伴う騒音問題に関する質問主意書
2007(平成十九)年五月七日提出
質問第二一五号
「米空母艦載機の厚木基地から岩国基地への移駐」に伴う騒音問題に関する質問主意書
提出者  平岡秀夫(民主党・無所属クラブ)

「米空母艦載機の厚木基地から岩国基地への移駐」に伴う騒音問題に関する質問主意書

 二〇〇七年二月、防衛施設庁が、岩国市内の各所において行った、米軍再編に伴う岩国基地の利用変更や航空機騒音予測に関する説明会に関し、次の事項について質問する。

1 「岩国飛行場に係る航空機騒音予測コンターについて」(平成十九年二月、防衛施設庁)に関して
 (1) 二月に行った岩国市内における住民説明会の位置付け、目的はいかなるものか。また、実施の法的な根拠は何か。そして、いかなる成果があったのかを明らかにされたい。
(答弁書)1の(1)について
 御指摘の住民説明会については、広島防衛施設局が、岩国市からの要請を受け、空母艦載機の移駐等について地元住民の理解を得るため、防衛省設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)第四条第十九号に定める所掌事務の一環として実施したものであり、防衛施設庁としては、当該移駐等について地元住民に対し鋭意説明を行い、地元住民の理解に資することができたものと考えている。

 (2) 一般市民にとって、加重等価平均感覚騒音レベル(以下、WECPNL)という概念は、極めて難解である。岩国での住民説明会を聞かれた市民のなかで、意味をわかって説明を聞いた人はどのくらいいると考えるか。WECPNLとは何を意味するのか、市民にわかるように、わかりやすく解説すべきである。直接的な騒音レベル(dB)と、どのような関係にあり、どう違うのかを説明されたい。(おそらく、具体的にはW値を求める式[dB(A)+10Log10N−27]の性質、意味を説明することで、相当程度わかるのではないか)。また、何故、WECPNLという概念の導入が必要なのか、その理由を明らかにされたい。
(答弁書)1の(2)について
 「航空機騒音に係る環境基準について」(昭和四十八年環境庁告示第百五十四号)において、航空機騒音に係る環境基準の評価単位は、WECPNL(加重等価継続感覚騒音レベル)と定められているところである。WECPNLは、音響の強度(デシベル)のほかに、その音響の発生回数、時刻等を考慮して、人に与える影響を評価する航空機騒音の評価単位であることから、防衛施設庁においても航空機騒音の評価単位として用いているところであり、御指摘の住民説明会においても、当該評価単位を使用し、説明したところである。
 防衛施設庁としては、当該評価単位、WECPNLと音響の強度の違い等について地元住民に対し鋭意説明を行い、地元住民の理解に資することができたものと考えている。

 (3) 住民説明会資料六頁「4.飛行回数」の項における、「岩国飛行場において、最終告示(平四.三.二七)を行った際に基礎となった騒音度調査」とは、いかなる調査か。その調査が岩国における実態を代表しているという保障は、何を根拠として、どこにあるのか。これまでの岩国での騒音調査に、これ以外のものがあれば実施対象、日時等別に概要を示し、その中から「平成一から二年」のデータを計算に採用した理由を明らかにされたい。
(答弁書)1の(3)について
 防衛施設庁においては、岩国飛行場について、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律(昭和四十九年法律第百一号)第四条の規定に基づき第一種区域を指定するに当たり、飛行経路、ピーク騒音レベル、継続時間、飛行回数等の調査(以下「騒音度調査」という。)を実施するなどし、航空機騒音の実態の把握に努めている。具体的には、昭和四十九年度及び平成元年度から平成二年度にかけて騒音度調査を実施し、また、平成五年度においては、岩国飛行場の滑走路を沖合へ千メートル程度移設する事業(以下「岩国沖合移設事業」という。)に係る環境影響評価準備書作成のため、岩国沖合移設事業完了後の航空機騒音の予測調査を実施した。
 お尋ねの「その調査が岩国における実態を代表しているという保障は、何を根拠として、どこにあるのか。」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「住民説明会資料」における飛行回数の算出に当たっては、右に述べた騒音度調査のうち、直近のものである平成四年三月二十七日の第一種区域の指定に際し平成元年度から平成二年度にかけて実施した調査により得られた飛行回数のデータを基に、平成十七年度における飛行回数を推定した上で、再編後の標準飛行回数を算出したものである。

(4) 「厚木の平成十六年度騒音度調査データ」、「普天間の平成十五から十七年度騒音度調査データ」なるものについても、その調査方法、代表性の根拠などを具体的に説明されたい。厚木、普天間でも、今回、計算に採用した調査以外に騒音調査はあるのか。これまでの調査実例を示し、その中から、今回、計算に採用したデータの選定理由を示されたい。
(答弁書)1の(4)について
 防衛施設庁においては、厚木飛行場について、昭和五十四年九月五日、昭和五十六年十月三十一日、昭和五十九年五月三十一日、昭和六十一年九月十日及び平成十八年一月十七日に、普天間飛行場について、昭和五十六年七月十八日及び昭和五十八年九月十日に、それぞれ第一種区域の指定を行っており、これらの指定に当たり、騒音度調査を実施するなどしたところである。
 また、御指摘の「普天間の平成十五から十七年度騒音度調査データ」については、普天間飛行場周辺の騒音状況を確認するため実施した調査において得られた平成十五年度から平成十七年度までの三か年の平均騒音発生回数を基に、岩国飛行場へ移駐する航空機の飛行割合等を勘案し、飛行回数を算出したものである。
 御指摘の「代表性の根拠」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「住民説明会資料」における再編後の一日の標準飛行回数の算出に当たっては、右に述べた調査のうち、厚木飛行場については、直近の平成十八年一月十七日の第一種区域の指定に際し平成十五年度から平成十六年度にかけて実施した騒音度調査により得られた飛行回数のデータを、普天間飛行場については、直近の平成十五年度から平成十七年度までの三か年の平均騒音発生回数を基に算出した飛行回数のデータをそれぞれ採用したものである。

 (5) 厚木から岩国への移駐が完了したとき、岩国では戦闘機が倍増するのに、標準飛行回数が、現状三二六回に対し、再編後に六三回しか増えない理由は何か。常識的には、騒音レベルの高い五九機の移駐により、少なくとも現状と比べ標準飛行回数は倍増してしかるべきである。にもかかわらず、わずかしか増えないとする理由を示されたい。
(答弁書)1の(5)について
 御指摘の標準飛行回数については、現状の三百二十六回に、岩国飛行場へ移駐する空母艦載機の厚木飛行場における飛行回数と、KC−一三〇空中給油機の普天間飛行場における三か年の平均騒音発生回数を基に算出した飛行回数を加え、厚木飛行場に移駐する海上自衛隊航空機及びグアムへ移駐する海兵隊CH−五三Dヘリコプターの岩国飛行場における飛行回数を差し引いた結果、三百八十九回となっており、現状の標準飛行回数に比べ、六十三回増えているものである。

 (6) 前記(5)の一つの可能性のある回答は、標準飛行回数に大きく影響を与える割増タイムに飛行する機体が、岩国が圧倒的に多いことが考えられる。その点を検証するため、岩国、厚木、普天間に関する調査結果の詳細を説明されたい。例えば、岩国に関して昼間の時間帯、十九時から二十二時までの三倍換算時間帯、更に二十二時以降の十倍換算時間帯について、それぞれの飛行回数を示されたい。
(答弁書)1の(6)について
 防衛施設庁として、時間帯別の飛行回数を記した資料は有していないことから、お答えすることは困難である。
 なお、「住民説明会資料」は、日別及び機種別の飛行回数を記した資料等を使用して作成したものである。

 (7) 現在、滑走路運用時間は、基地によって異なっている。厚木、普天間、横田では日米合同委員会合意として、三沢においても、朝六時から夜二十二時までである。これに対し、岩国基地では、朝六時三十分から夜二十三時までとなっている。岩国だけが夜二十二時から二十三時までも運用時間に入っていることについて、この深夜の一時間の違いが、岩国における標準飛行回数に大きな影響を作り出していると考えられるが、どうか。もしそうであれば、厚木、普天間、横田から移駐してくる戦闘機が、岩国に来てどう飛行するかに関して、厚木、普天間、横田でのデータを、そのまま使用して推測すると実態を見損なう可能性が高い。岩国では二十二時から二十三時まで運用できるので、厚木にいるときは飛行しない時間帯に多数飛行することができ、標準飛行回数が倍増することが予想される。防衛施設庁の再編後の飛行回数の推測は、この点をごまかしているのではないか。

 (8) 更に、一本の滑走路に対して、戦闘機が倍増する為、運用時間が延長する可能性があるが、標準飛行回数の推測にあたり、その点をどう考慮しているのか説明されたい。
(答弁書)1の(7)及び(8)について  空母艦載機及びKC−一三〇空中給油機(以下「空母艦載機等」という。)が岩国飛行場に移駐した場合の運用の詳細については、現段階において承知していないことから、「住民説明会資料」の作成に当たっては、標準飛行回数について、現在の厚木飛行場及び普天間飛行場における運用実態を考慮して算定したものである。  いずれにせよ、防衛施設庁としては、実際に空母艦載機等が岩国飛行場に移駐した後、現地において騒音度調査を行い、適切に対応する考えである。

(9) 住民説明会資料九頁から十三頁「5.飛行経路」の項に示されている、飛行経路の仮定は、アメリカ政府との間での何がしかの合意に基づくものなのか。滑走路が沖合いに出たことで、真北に向けて飛行できるはずであるにもかかわらず、北に向かって飛行した場合でも、すぐに東向きに転回することを想定する根拠を示されたい。米軍機の飛行コースは、百パーセントこの仮定の中に入るという保障はあるのか。
(答弁書)1の(9)について
 「住民説明会資料」に示している空母艦載機等の移駐後の岩国飛行場の飛行経路については、岩国沖合移設事業に係る環境影響評価準備書作成の際に想定した標準的な飛行経路と同様のものとなる見込みであり、このことは、日米間で確認している。
 また、当該飛行経路は、あくまで標準的なものを示したものであり、すべての米軍航空機が同様に飛行することを確認したものではない。

 (10) 住民説明会資料四、五頁「機種毎の騒音データ」の項にある図「航空機からの距離と騒音値の関係」は、厚木、岩国などで調査した結果得られた騒音データをもとに作成したとのことだが、どのようなデータなのかを明らかにされたい。航空機からの距離を均等に分布させ、八、九カ所に測定点を配置し、騒音データを取得したと見られるが、気象条件も加味しながら、航空機の位置からどの方向に測線を延ばせばいいのかの吟味はどうされているのか。また、一回限りの調査なのか、それとも複数回なのか。複数回の調査であれば、得られたデータはある幅の中に分布すると考えられるが、その平均値なのか、それとも最も大きな騒音値を採用しているのか明らかにされたい。
(答弁書)1の(10)について
 お尋ねの「厚木、岩国などで調査した結果得られた騒音データ」については、飛行経路のほぼ直下に位置する場所で、機種ごとの航空機騒音を複数回録音するとともに、当該場所から航空機までの距離を測定し、録音した航空機騒音の周波数成分を分析するなどして音源から一メートル離れた仮想的な球面上での周波数別の平均的な音圧レベルを求め、これを基に、音源から任意の距離にある球面上の騒音レベルを算出したものであり、過去に得られた機種ごとの平均的なデータと比較検討して使用しているものである。

2 その他
 (1) 滑走路運用時間が基地によって異なっている理由を明らかにされたい。厚木、普天間、横田では、日米合同委員会で政府間の取り決めとして位置づけられているのに、岩国では、「岩国日米協議会」での確認事項にすぎない。何故、このようになっているのか、その経過と根拠を示されたい。厚木や普天間、横田では騒音訴訟があり、岩国では提訴すらされていないことなどが反映されているのか。また政府として、岩国でのこの差別的な実情を変える意思はあるのか明らかにされたい。
(答弁書)
 (2) 岩国では、飛行そのものだけでなく、エンジンテストによる騒音に対しても相当数の苦情がある。厚木、普天間、横田では、日米合同委員会合意の中で、それぞれ、「十八時から六時」「十八時から八時」の間、エンジンテストは行わないこととなっている。これに対し、岩国では、「岩国日米協議会での確認事項」で「二十一時以降、午前七時以前は原則として避ける」となっている。滑走路運用時間と同様、厚木、普天間よりも、かなり緩い規制になっているが、その理由は何か。また、これを普天間基地並みに改善するよう働きかける意思はあるか。
(答弁書)2の(1)及び(2)について
 厚木飛行場、横田飛行場、普天間飛行場及び嘉手納飛行場以外の飛行場については、日米合同委員会において航空機騒音規制に関する合意がなされていないが、岩国飛行場については、岩国市、国、山口県及び現地米軍の代表者をもって構成される「岩国日米協議会」における協議の結果を踏まえ、米軍は、厚木飛行場等の四飛行場と同様に、岩国飛行場に係る運用上の所要を勘案した上で、航空機騒音の軽減についてできる限りの措置を講じているものと承知している。
 このことについては、御指摘の「騒音訴訟」の有無とは関係のないものと考えており、また、日米合同委員会における合意を要するとは必ずしも考えていない。

 (3) 横田、厚木、沖縄の滑走路運用やエンジンテストの時間帯についての合意事項について、発議した(つまり合同委員会を開こうと言い出した)のは、日本側か、それとも米軍側か。もし日本側が発議したのであれば、何をきっかけとして合同委員会での議論を求めたのかを明らかにされたい。
(答弁書)2の(3)について
 御指摘の「合意事項」については、地元の要望を踏まえ、日本側から発議し、日米合同委員会において合意されたものである。

http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_shitsumon.htm



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