「ミッドウェー」の横須賀の駐留はほぼ三年

「ミッドウェー」の横須賀の駐留はほぼ三年

○片岡勝治君(社会党=当時)
 『第一、「ミッドウェー」の横須賀の駐留というのは、その期間は
ほぼ三年である、これはいいですね。』

○政府委員(大河原良雄君) 
『空母「ミッドウェー」が横須賀周辺に家族を居住させておる期
間はおおむね三年というふうに承知いたしております。』

1973年12月の参 院決算委員会で、大河原良雄外務省アメ
リカ局長が答えている。

関係して「事前協議の対象となるもの」についての応酬があり、興味深い。


  [001/001] 72 - 参 - 決算委員会 - 1号
  昭和48年12月19日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENS
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○片岡勝治君 過般、前回の委員会で要求いたしました母港化に関係す
るこれまでの政府の見解について、いろいろ不明確な点があるので、そ
の統一した見解を出すように求めたわけでありますが、その回答を得た
わけであります。しかし、率直に言ってたいへん不明確な点があるわけ
でありまして、さらにまた、この統一見解によって非常に重大な問題を
投げかけてきたというふうに私はとるわけであります。そういう点で若
干の質問をさしていただきたいと思うわけであります。

 そこで、まず統一見解の受けとめ方でありますけれども、第一項につ
いては、母港とは何ぞやということに対する政府の見解として、「「母
港」とは、」在籍港あるいは登録港また家族の居住地である、あるいは
活動上の根拠地、こういうようなものを母港と通称言っている、こうい
うことであります。

 それから第二項にまいりますと、いろいろ書いてありますけれども、
本拠地、根拠地は母港である、これは母港と言える、しかし母港は必ず
しも根拠地、本拠地ではない、こういうふうに一項、二項は受け取れる
わけでありますけれども、そういうふうに受け取ってよろしゅうござい
ますか。

○政府委員(大河原良雄君) 前回の委員会におきまして御要求がござ
いましたいわゆる母港化の問題につきまして、統一見解を委員会のほう
へ提出いたしました。その統一見解の中の第一項で母港につきましての
説明をいたし、第二項で安保条約六条の実施に関する交換公文でうたわ
れております事前協議との関連におきまして「配置」とはこういう意味
であると、こういう御説明をしたわけでございまして、ただいまの御指
摘のとおりでございます。

○片岡勝治君 次に、第三項、四項がたいへん重大な問題でありますけ
れども、ここで防衛庁の防衛局長がお見えでありますので、いわゆる海
軍の場合の艦艇ないし艦隊の根拠地あるいは本拠地というのはどういう
ふうにあなた方は見ておるのか、そういう機能は一体どういうものなの
か、これをひとつ専門的な立場でお答え願いたいと思います。

○政府委員(久保卓也君) 御審議に資する意味におきまして旧海軍そ
れから現在の海上自衛隊それから一般船舶、この三つに分けまして、や
や何といいますか、法的と申しますか、そういう観念をまず申し上げて
おきたいと思います。

 旧海軍におきましては軍港に鎮守府があったわけでありますが、その
鎮守府に船の籍があります。この統一見解の中で「在籍港」とあります
が、そういった意味の籍を有するところ、これが鎮守府でありまして、
その効果はどういうことかと申しますと、兵員の管理、つまりその鎮守
府に管轄区域がありまして、その管轄区域内の兵隊クラスであります
が、その兵員はすべてその鎮守府に籍のある船に乗船すべきことになっ
ておったようであります。そして、補給あるいは整備の管理をその籍の
ある鎮守府がやっておったということであります。
 現実に整備をやるの
がたとえば横須賀の鎮守府に籍のある船でありましても、佐世保で修理
をやるということは現実にはあるようでありますが、どこで修理をす
る、どういうふうに修理をするのか、そういった管理コントロールとい
うものは籍のあるところがやるということのようであります。それと別
個に、そういう籍があるということと別個に、根拠地という思想はこれ
はその船舶、艦船の活動の根拠地ということのようでありまして、その
根拠地は必ずしも籍のあるところと同じではなくて、あるいはまた一つ
ではなくて、幾つも活動上の根拠地がある。特に戦時中であれば、そう
いった根拠地が幾つもできるということがあり得るようであります。そ
ういう観念のように聞いてまいりました。

 自衛隊はどうなっているかと申しますると、やはり籍の観念がありま
して、これはたてまえといたしましては地方総監部のあるところ、地方
総監部に籍があるわけでありますが、そういたしまして、その地方総監
部ではこの自衛隊の艦船の国有財産としての管理者としての仕事が行な
われる。したがいまして、地方総監部におきまして、そこに籍のある艦
船につきましては、各般の、入籍から除籍までの一貫しためんどうとい
いますか、そういったものを見ることになっておりまして、また人事的
に見ましても曹士のクラスの人たちについての任免権といいますか、そ
ういった人事権を持っておるというようなことであります。それと別個
に自衛隊の場合には定係港という観念があります。
 これは籍はたとえば
佐世保とか横須賀の地方総監部にあるのですけれども、現実に活動する
のが必ずしもそういう場所ではなくて、たとえば大村でありますとか、
そういうやや離れた場所にあって活動する場合、そういう場合に、定係
港が指定されますると、たとえば航海手当が出る場合にその定係港から
出て定係港に帰るまでの日数が計算される、あるいはその乗り組み員の
住所地は、籍のある場所ではなくて定係港のある場所ということになる
ようであります。したがいまして、旅費の計算も定係港というものが基
準になるというような扱いをしております。

 それから、一般船舶について見ますると、これは海上保安庁とか一般
商船について大体似た観念のように思いますけれども、在籍港――籍の
ある港あるいは現実には場所、市町村名になりまするけれども、、そう
いう籍のあるところとそれから主たる根拠地あるいはこれは主たる根拠
地という名前は漁船の場合に使っておるようでありまするし、それから
一般船舶の場合に運航の根拠地というような表現が運輸省の中では使わ
れているようでありますし、それから海上保安庁の中では、基地という
観念が使われているようであります。
 いずれも籍のある港あるいは市町
村というものは、これはその船を管理する、官庁が管理する必要上つく
られているところで、たとえば登記所がそこで――その場所が決定され
ることによって登記所がきめられたり、あるいは船の積量をはかったり
云々といったようないろいろな業務が籍のあるところで行なわれる。と
ころが漁船でいう主たる根拠地という場合には、今度はその船が実際に
活動する場所の根拠になるようなところ。で、場合によってはこの船籍
港と主たる根拠地というのが一緒になる場合もあるようでありまする
し、海上保安庁の場合には基地と船籍港が一緒になる場合も多いようで
あります。しかし海上保安庁の場合には二十トン以上の船舶については
すべて東京都に船籍港を置いているそうでありまして、その場合には二
十トン以下のものが基地であるところの海上保安部あるいは海上保安署
というところになり、おそらくはそこがまた船籍港として指定されてお
る、二十トン以下の場合に、ということになっているのではなかろう
か。
 そういたしますると、旧海軍、海上自衛隊及び一般船舶を通じて見ま
すると、法的な観念としましては籍のある場所、つまり官庁的な管理業
務を行なう場所と、それから活動の根拠地になるような場所、それから
中間的には補給整備を行なう場所ということが考えられるわけでありま
するが、それは籍のある場所で実体的に行なう場合もありましょうし、
基地、主たる根拠地、あるいはわれわれの言う定係港、そういうところ
で行なう場合もあるということで、そこでこれが法的に見た場合のいろ
いろの港なり根拠地なりの考え方でありまするが、母港というのは、旧
海軍時代も用語としては使われておったようでありまするけれども、や
はりここに書いてありまするように、統一見解にありまするように、俗
語的なものであって、どの部分がそろったら母港であるのか、家族がい
るところだけを指して言う場合もあるんでありましょうし、どういう要
件があったら母港であり、どの要件がなければ母港と言えないかという
ことは、いろいろ聞いてみましたけれども、どうも明確に言いにくいと
いうことで、ある程度具体的に言うならば、いま言いましたように法的
な面をとらえて論ずることのほうが正確のようにいままで調べたところ
ではそう思ったわけであります。

○片岡勝治君 第三項についてはきわめて不明確だと先ほど申し上
げましたけれども、私が統一見解を求めたのは根拠地あるいは本拠
地とこの母港との関係について、非常に不明確だからそれを統一し
て出しなさい、こういうことであったわけであります。第三項に
は、「単に乗組員の家族をわが国に居住させることとなった結果、
わが国への寄港回数が増加したり、寄港期間が長くなっても、これ
により、同艦による港の使用の実体が従来と比較して変ったとは認
められない。」、こういう答弁書であります。一体これは何を言お
うとしているのか、ちょっと私どもにはわからないわけでありま
す。

 そこで、端的にこれから一つ一つ確認をしていきたいと思います
ので、ひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。これはいま
までの衆参両院における関係委員会あるいは本会議等におけるきわ
めて最近の政府関係者の答弁をいろいろ洗い出してみますと、この
「ミッドウェー」の寄港に関することについて次のような諸点が明
らかになっておるわけでありますが、これを一つ一つ確認をしてい
きたいと思います。

 第一、「ミッドウェー」の横須賀の駐留というのは、その期間は
ほぼ三年である、これはいいですね。

○政府委員(大河原良雄君) 空母「ミッドウェー」が横須賀周辺に家
族を居住させておる期間はおおむね三年というふうに承知いたしており
ます。

○片岡勝治君 第二点、その三年の期間のうち、一年をとってみると、
延べ日数にして半年ぐらいはいわゆる西太平洋ないしインド洋に出動を
して、延べ半年ぐらいは横須賀に駐留すると、これもよろしいですね。

○政府委員(大河原良雄君) 一年のうちの約半分は洋上にある、残り
の半分は寄港しておるということでございまして、約半分の六カ月程度
を必ず横須賀に寄港しておるかどうかということにつきましては、必ず
しもそれに限られるものではないだろうというふうに考えております。

○片岡勝治君 これはしかし衆議院の内閣委員会ではあなたはそういう
答弁をしておりますね。まあいいです、これは。そういう半年ぐらいは
横須賀、つまり母港とした横須賀に駐留するだろうと、こういうことで
す。

 次、第三点、これはまあいま答弁がありましたとおり、家族もこの横
須賀――厳密に言えば横須賀及びその周辺ということになりますね、そ
こに居住をする。この三点はけっこうです、もうすでに確認をされてい
る事項ですから。

 第四点、この横須賀において「ミッドウェー」は補給活動を行なうと
いうこと、これは食糧、燃料、その他必要な物資、そういう補給活動は
この横須賀で行なうと、これもいいですね。

○政府委員(大河原良雄君) 横須賀に寄港いたします「ミッドウェ
ー」は横須賀におきまして補給、休養、こういうふうな機能を果たす
と、こういうことでございます。

○片岡勝治君 第五点、「ミッドウェー」はこの横須賀において修理を
する、もちろんぶっこわれた船を根本的に直すなんということはこれは
別として、いわゆる通常の修理はこの艦船修理部で行なうと、こういう
ふうにお答えになっております。これもよろしゅうございますね。

○政府委員(大河原良雄君) 横須賀におきまして通常の維持補修が行
なわれるということでございます。

○片岡勝治君 第六点、空母には飛行機が搭載されておるわけでありま
すけれども、つまり横須賀に駐留することによって、その期間搭乗員の
訓練を行なう、飛行訓練を行なう、これもいいですね。


○政府委員(大河原良雄君) 横須賀に寄港いたしました「ミッドウェ
ー」の搭載機の一部は厚木なり、あるいは三沢に飛ばせ、そこで訓練な
どが行なわれるということでございます。

○片岡勝治君 第七点、第七艦隊の旗艦「オクラホマシティ」、これは
巡洋艦でありますけれども、この母港は横須賀である、第七艦隊の司令
部も横須賀にある、これもいいですね。

○政府委員(大河原良雄君) 第七艦隊の旗艦は「オクラホマシティ」
でございますが、第七艦隊の司令部そのものは旗艦の上にございまし
て、陸上ではございません。また、「オクラホマシティ」は横須賀にそ
の乗り組み員の家族を居住させているということでございます。

○片岡勝治君 「オクラホマシティ」は第七艦隊の旗艦であり、横須賀
を母港にしている、これはそういう答弁が載ってますよ、なんだったら
読み上げましょうか。あなたが答弁しているんだから。

○政府委員(大河原良雄君) いわゆる母港という意味で御答弁申し上
げたことはございませんと思いますが、家族は横須賀に居住いたしてお
ります。

○片岡勝治君 さて、いまずうっとこう読み上げてまいりますと、まあ
防衛局長から、海軍の場合の根拠地、海軍あるいは艦艇あるいは船の根
拠地は一体どういう内容なのかということについて御説明を受けたわけ
でありますけれども、いまこの「ミッドウェー」の場合を考えてみる
と、このほかに一体どういう要素がプラスされればここが根拠地になる
んですか、どういう要素が。ないでしょう、もう。

○政府委員(大河原良雄君) 先ほど御答弁申し上げましたように、
「ミッドウェー」は横須賀の周辺に乗り組み員の家族を居住させており
ますとともに、横須賀におきまして通常の修理、補給ということを行な
っておりますけれども、「ミッドウェー」がその活動上必要といたして
おります修理、補給、それから兵員管理、こういうふうな一般的な機能
につきましては、米国の西海岸のサンジエゴに所在します米太平洋艦隊
海軍航空部隊司令部の指揮のもとで行なわれているわけでございまし
て、従来「ミッドウェー」がいわゆる母港化を横須賀で行ないます前に
おきましては乗り組み員の家族もアメリカの西海岸に居住しておった、
こういう状況であるわけでございまして、ことしの春以来、ことに夏以
来家族が横須賀に居住を始めた、こういうのが実態でございます。

○片岡勝治君 私が聞いていることをひとつすなおにお答え願いたいん
ですけれども、アメリカの船ですからね、アメリカの指揮命令を受ける
のはあたりまえですよ。そんなことは、私は聞いているんじゃなくて、
このほかにいま言ったような――私は七つあげたわけですよ。七つの要
素以外に一体どういう要素がこれにプラスされれば「ミッドウェー」は
横須賀を本拠地とする、根拠地とするということになるのか。防衛局長
の説明によれば、全くもうこれ以上プラスされる要素は何にもない、そ
ういうことになりますよ。だから、このほかに一体どういう要素が、ど
ういう内容が、港を使用する機能がプラスされれば根拠地になるのか、
こういうことを聞いておるんです。なければないとおっしゃっていただ
ければいいんです。

○政府委員(大河原良雄君) 従来からも兵員管理等の一般管理につき
ましては、米国の西海岸で行なわれてきているわけでございまして、
「ミッドウェー」が先年来随時横須賀に寄港したことがございますけれ
ども、そのときの状況と変わっておりますのは、ことしの夏以来乗り組
み員の家族が横須賀周辺に居住を始めたということでございまして、ほ
かの一般的な管理業務は引き続いて米国西海岸で行なわれておるという
のが実態でございます。

○片岡勝治君 そんなことは初めからわかっているんですよ。アメリカ
の船ですからね、最終的にアメリカの指揮命令を、管理を受けるのはあ
たりまえですよ。日本の自衛隊だって、南太平洋の、かりにですよ、ど
こかに母港なり基地なりを持ったときに、その管理は日本の横須賀でや
るとか、佐世保でやるというのはあたりまえじゃありませんか。そうい
うことを聞いているのじゃなくて、いま私が言ったのは、三年もいる、
一年のうちに半年もいる、家族もいる、乗り組み員の休養もやる、補給
活動一切やる、修理もやる、訓練もやる、第七艦隊の旗艦「オクラホマ
シティ」も横須賀にいる、その中に司令部もある、その指揮命令によっ
てこの第七艦隊というのは動いているんです。そのほかに一体どういう
要素があれば根拠地となるか。もしあなた、そういう論理でいくなら
ば、日本への配置というのはあり得ないんじゃないですか、安保条約に
よる。まあそこまでこれからいきたいんですけれども、そこへいく前
に、いま申し上げました七項目以外に一体どういう要素がプラスされれ
ば横須賀が本拠地ないし根拠地になるのか、言ってくださいよ、具体的
に内容を。

○政府委員(大河原良雄君) 統一見解でも述べられてございますよう
に、いかなる場合に本拠あるいは根拠地としての駐留に該当するかとい
うことにつきましては、「個々のケースについて米軍の活動の実体に即
して判断されるべきものである。」と、こういうふうに政府としては考
えているわけでございます。

 そこで、具体的な「ミッドウェー」の活動につきましては、先ほど来
御答弁申し上げておりますように、従来から一般的な管理は米国西海岸
で行なわれているわけでございまして、そういう意味では活動の本拠は
米西海岸にあるということが言えるわけでございます。そこで、いわゆ
る「ミッドウェー」の母港化が横須賀で行なわれました結果として変わ
ってまいりましたのは、「ミッドウェー」の乗り組み員の家族が横須賀
周辺に居住することになったということでございまして、補給、修理、
訓練、そういうものがすべて日本国内で行なわれているという状況では
ないわけでございます。そういう意味で先ほど来の御答弁を申し上げて
いるわけでございます。

○片岡勝治君 あなたは言ったじゃないか、補給、訓練は横須賀あるい
はそういうところでやるということはいま答弁したのですよ。さっきの
答弁は取り消すのですか。それからもう一つね、私が聞いているのはい
ま七項目あげたわけですよ。母港とか母港化ということじゃなくて「ミ
ッドウェー」の横須賀の施設ないしその地域を利用する機能としては私
は七項目あげた。まだそのほかにあるかもしらぬ。七項目以外にどうい
う要素がプラスされればなるほど「ミッドウェー」は横須賀を根拠地に
する、こういうことになるのか、どういう活動というか、どういう機能
というか、どういう基地の使い方をすれば本拠地になるのか、これを聞
いているから、なければない、あればこれにプラスそういう機能がある
んだよと、こう言ってもらいたいんですよ。

○政府委員(大河原良雄君) 先ほど私御答弁申し上げましたのは、横
須賀へ入ってまいりました「ミッドウェー」はそこで補給、修理等を行
なうことが当然あるわけでございますが、補給、修理は横須賀における
もののみに限られるわけではございませんでして、通常の補給はかなり
の部分が洋上で行なわれておりますし、また三年に一度西海岸に戻りま
す場合には、そこにおいてわが国においては実施できませんような補
給、修理あるいは訓練、こういうふうなものが行なわれるわけでござい
ます。そこで具体的に七項目をおあげになられまして、これ以外に何が
あるかと、こういう御質問でございますが、その点につきましては統一
見解の第三項目に述べられてありますとおりに「活動の実体に即して」
考えられるべきものであると、こういうふうに申し上げているわけでご
ざいます。

○片岡勝治君 だから「活動の実体に即して」考えられる、あなた方事
前協議の対象にするときに、こういう点が明確でなければ困るでしょう
に。だから「活動の実体」はいろいろあるだろう。だから私が常識的に
考え、しかも現に「ミッドウェー」が横須賀にいてその基地の施設の利
用のしかた、基地の機能、こういうものを、ずっと「ミッドウェー」が
行なっているものをあげてみると七項目があげられる。そのほかに一体
どういうものがプラスされれば根拠地になるのか、これは単に「ミッド
ウェー」の問題じゃないのですよ、事前協議の対象になる。つまり配
置、海軍の場合の配置というのが根拠地になるということなんだ、だか
ら根拠地の機能というのはこういうことなんだということが明確になら
なければ、これは事前協議の対象にするなんと言ったって全然それはも
のさしがないじゃありませんか。アメリカの指揮命令を受けている、西
海岸なんというのは理由になりませんよ、アメリカの船ですから。そん
なことはもうあたりまえの話ですよ。

○政府委員(大河原良雄君) 配置とは何だと、こういう御質問がまず
出てくるわけでございますが、その点につきましては統一見解の第二項
に記載されてございますように「米軍がわが国の施設区域を本拠あるい
は根拠地として駐留する場合」と、こういうふうに規定されている、考
えられているわけでございます。したがいまして、ただいま御質問の本
拠または根拠地としての関係において、一体事前協議の対象となるべき
配置についてどういうふうに考えるべきかと、こういう御質問だという
ふうに伺っておりますけれども、その点につきましては個々のケースに
ついて、「活動の実体に即して判断されるべきもの」と、こういうふう
にまた考えておるわけでございます。

○片岡勝治君 だから個々の具体的なケースで判断をする、百歩譲って
そういうふうにしましょう。そこで、現に「ミッドウェー」が横須賀に
いてこういう基地の使い方あるいは機能のしかた、そういうものをずっ
とあげてみると、こういうことになっている。そこであなた方はこれは
根拠地じゃないと言いたいんだろうけれども、それならそれでいいんで
すよ。あとどういう要素が加わったら、根拠地なり本拠地になるのか、
これを聞きたいんです。出てこないところをみるとないんですね、これ
は。このほかに何かありますか。

○政府委員(大河原良雄君) 「ミッドウェー」の場合につきまして考
えますと、兵員管理その他一般的な管理業務が米国西海岸において行な
われてきており、また今日も行なわれてきておる。そういう意味で「ミ
ッドウェー」の場合には従来から活動の本拠というものは米国西海岸に
あると、またあったと、こういうふうに考えてしかるべきだというふう
に思っているわけでございまして、家族を日本に居住させることになり
ましてからもその寄港の実体は従来とは変わってきておらないと、こう
いうふうに政府として考えております。

○片岡勝治君 ああそうですか。そうするとアメリカの船ですからアメ
リカのどこかにその総元締めがあって、まあアメリカ海軍でしょう、西
海岸ですから、これは「ミッドウェー」が帰るんですからね。それはあ
たりまえの話でしょう、そんなこと。あなたの解釈でいけば日本への海
軍の配置というのは全然ありませんよ、事前協議の対象となるべき重要
な配置の変更、そういうものは海軍の場合にはあり得ない。あなたの解
釈でいけばそういうことになりますね。

○政府委員(大河原良雄君) 安保条約に規定されております事前協議
の対象となるべき重要な配置の変更ということにつきましては、従来政
府がこういう場合には……

○政府委員(大河原良雄君) 重要な配置の変更と申しますのは、海軍
の場合では一機動部隊程度の部隊が日本に配置されることであると、こ
ういうふうな御説明をいたしておりまして、では一機動部隊程度という
のは具体的にどの程度の兵力量かと……

○片岡勝治君 そういうことを聞いているんじゃないんですよ。これか
ら聞くんですよ、それは、量の問題は。いま質の問題を聞いている、
質。

○政府委員(大河原良雄君) したがいまして、一機動部隊程度のもの
が日本に配置されますとそれは重要な配置の変更ということで事前協議
の対象となりますと、こういうことでございます。

○片岡勝治君 はい、わかりました。あなたも頭がよろしいんですから
もう少し私の質問を明確に理解していただいてお答え願いたいと思いま
す。私は量の問題はこれから触れようと思っているんです。事前協議の
対象、つまり事前協議の対象には二つの要素があるわけですよね。つま
り基地の使い方、もう一つは量の問題です、量の問題。なるほど政府の
見解によれば、「ミッドウェー」一隻だけが横須賀を根拠地にしてもこ
れは事前協議の対象にはなりませんよと政府はいままで言っているんで
す。私はそれは政府の見解は見解なりで私は理解している。
 いまその一つの要素として基地の使い方、これについてお尋ね
をしているわけであります。極論すれば量の問題はもう関係なく
なるんですよ、これが、あなたのような答弁になれば。そうでし
ょう。それじゃこういうふうにお尋ねいたしましょうか。いま一
機動部隊と申し上げましたけれども、これはいままでの政府答弁
によれば三隻ないし五隻の空母、それに一緒にいるところの駆逐
艦一グループ五ないし七の駆逐艦がある、これを一機動部隊、こ
れもいままでの政府答弁によれば第七艦隊のうちのTF77機動
隊しかないと、こういうことになりますよね。

 そこでそれではこの「ミッドウェー」と同じように他の二隻の
航空母艦が横須賀を母港にして、私がいま申し上げました一項目
から七項目の機能、基地の使い方を
した、そ
して家族もそこに住んだ、それから駆逐艦も五ないし七ですから
、かりに六として三、六、十八隻の艦艇が横須賀を母港にした、
「ミッドウェー」と同じような基地の使い方をした、まさにTF
77機動部隊が「ミッドウェー」と同じような形で横須賀に来た
という場合に事前協議の対象になりますか、これ。あなたの論理
からすればなりませんよ。どういう機能がそれにプラスされれば
事前協議の対象になるのですか。それではTF77が来た場合に……。

○政府委員(大河原良雄君) 質と量と両面を考えろと、こういう
御指摘だと承知いたしております。
 そこでまず量から申しまして、一機動部隊程度というのは何だ
と、こういうことに関しましては、政府は従来三ないし五のタスク
グループをもって編成されるタスクフォースが配置される場合が事
前協議の対象となる、こういう御説明をいたしております。そこで
この「ミッドウェー」につきましては、一タスクグループを編成し
ているのかどうかということは別といたしまして、「ミッドウェ
ー」が横須賀に寄港いたしますことは、政府としては、これは乗り
組み員の家族が日本に居住することになったものであって、配置だ
とは考えておりませんと、こういう御説明をいたしております。そ
こでいまの御指摘は、それでは「ミッドウェー」と同じような船が
もう二グループ日本に家族を居住させる場合はどうかと、こういう
御指摘だと思いますけれども、配置ということが前提となって、重
要な配置の変更と、したがって事前協議の対象と、こういう関連に
なってくるだろうと考えておるわけであります。

○片岡勝治君 二つの要素があって、どっちか一つも欠ければ、これは
事前協議の対象になりませんね。これはわかっているんですよ、私も。
だからこの場合私は、「ミッドウェー」がいままでの政府見解によれ
ば、根拠地にしたところで直ちに事前協議の対象にはしない、ならな
い。これはいままでの政府の見解だから、それは見解でいいと言うんで
すよ。私が聞いているのは、そのうちの一つの要素、つまり基地の使い
方、施設の利用のしかた、そういうものが明確な尺度がない限り、事前
協議の対象というものは一切なくなるということですよ。だからいまア
メリカ局長の答弁によれば、量としては一タスクフォース、具体的に言
えば第七艦隊のうちの第七十七機動部隊。現実には、具体的にはこれ以
外に対象がない。これは衆議院の内閣委員会で答弁しておりますよね。
しかしこの七十七機動部隊でも、その艦艇、その船が横須賀を利用する
場合の利用のしかたが、この「ミッドウェー」と同じような場合にも政
府のいままでの統一見解によれば事前協議の対象にならないということ
になるんですよ、質の問題から、基地の利用のしかたから考えれば。そ
ういうことになるんですよ。私の質問は非常に具体的ですからね。

○政府委員(大河原良雄君) 現実の問題といたしまして、三個タスク
グループの艦船が日本に一時に寄港し、その乗り組み員の家族が一時に
――一時というか、まとまって日本に居住をするということはまず考え
られないと思います。

○片岡勝治君 そうだったら事前協議の対象なんか、あんた、みずから
語るに落ちたでしょう。事前協議の対象なんか、それじゃ具体的には何
があるんですか。

○政府委員(大河原良雄君) そこで事前協議の対象となるものにつき
ましては、重要な配置の変更ということにつきまして、政府は従来から
御説明をいたしております。ただ現実の問題といたしまして、そのよう
な実体がどういう形であり得るだろうかということになりますと、一機
動部隊程度の艦船の、しかも乗り組み員の家族がまとまって日本に居住
するということは、まず想定されないだろう、こういうことを申し上げ
ておるわけでございます。

○片岡勝治君 はい、わかりました。
 たいへん長時間この問題でいろいろ質疑をさしていただきましたけれ
ども、結論は、いまアメリカ局長が非常に明確に言ったように、大体も
う量の問題から事前協議の対象は海軍の場合にはあり得ない、こういう
ことが明確になったわけであります。

 それから質の問題でも、つまり「ミッドウェー」の基地の使い方、こ
れが根拠地でないということはもう常識で考えられないわけでありま
す。しかし政府は、いやこれはアメリカの船なんだから、アメリカ西海
岸にこの指揮命令権があるんだということ、その一点であります、私と
見解を異にするのは。で、このことを推し広げていけば、日本への配
置、海軍の場合は日本への配置は、すべてこれはもうアメリカの艦艇で
ありますから、アメリカの西海岸か、あるいは場合によっては東海岸も
あるかもしれないけれども、これは指揮命令を受ける最終的な管理の責
任がそこにある、こういうことになれば日本への配置ということは全く
あり得ない。したがって政府は、これまで安保条約の運用についてチェ
ックすると言ってきましたけれども、事海軍の場合には全くこれは空文
であるということがいまの答弁によって明確になったわけでありまし
て、これはきわめて重大ですよ。たいへんな問題となりますよ。いまま
で国民をペテンにかけてきた、こういうふうに言われてもいたし方がな
いでありましょう。

○政府委員(大河原良雄君) 先ほどの御質問で、七十七機動部隊
の空母の乗り組み員の家族が日本に居住するような場合にもなおか
つ事前協議の対象にならないかと、こういう関連においての御質問
でありましたので、私はその関連においての御答弁を申し上げたつ
もりでございます。また、事前協議の対象となるべき重要な配置の
変更というものは実際上あり得るのか、ないのかと、こういう御質
問を前に衆議院の内閣委員会におきまして受けました際に私御答弁
申し上げましたのは、平常の事態においてはそのような重要な配置
の変更ということで事前協議の対象となるような配置が行なわれる
ことはまず考えられないでありましょう、特にことしの一月二十三
日の安保協議委員会で事前協議の問題が話し合われました際に、日
米双方で、現在の情勢のもとに事前協議の対象となるべき事態が生
ずるということは考えられないという趣旨の意見の一致を見ており
ますので、そういう状況のもとにおきましては事前協議ということ
が、配置の変更という意味における事前協議ということが行なわれ
ることはないでありましょうという趣旨の御答弁を申し上げました
のを記憶いたしております。


○片岡勝治君 非常に私は具体的にずっとお伺いをして、二つの角度か
ら、一つは、配置の変更という場合には質と量があるんだと、端的に言
えばですね。基地の使い方、その基地の機能、そういう面からの要素が
一つと、それからもう一つは量の問題だと、この二つの角度からお尋ね
したところが、質の問題については七項目あって、そのほかにどういう
要素があるのかと言ったら、具体的に全然お答えにならない。私のほう
からすれば、この七項目でこれは根拠地ということは明らかであるわけ
ですけれども、しかし、アメリカ局長のお答えによると、これはアメリ
カの船なんだから西海岸のほうにその最終的な指揮命令権がある。あえ
て言うならば、そのことが満たされれば根拠地というふうに理解される
わけであります。これはアメリカの船ですからいかなる場合にもその指
揮命令といいますか、最終的な管理権、そういうものはアメリカにある
のはあたりまえじゃないか。そうでしょう。だとするならば、基地の使
い方、つまり根拠地ということは海軍の場合にはあり得ない。日本を根
拠地にするということはあり得ない。こういう結論になるじゃありませ
んか。非常に単純な論理学ですよ、これは。そうすると、アメリカの艦
艇が日本に根拠地を持つということがあり得ないということになれば、
配置の重要なる変更ということはこれまたあり得ないということになる
んですよ。配置の変更ということは、海軍の場合。これが一つですよ
ね。

 質の問題から、そういうことがはっきり言えるわけです。これはア
メリカ局長の答弁からずっとこうきますと、そういうことになる。
 次に、量の問題から。これは現実に空母三ないし五、それにプラスさ
れる駆逐艦艇が一グループごとに五ないし七ということになりますれ
ば、これざっと計算いたしますと、これはたいへんな艦艇になるのです
よね。それが一時にこの横須賀を母港にする、そして家族も住む、補給
活動、修理、訓練、そういうことが可能かというと、これは全くの不可
能な話です。これは局長も言っているとおり、そういうことは想定でき
ない。おそらくこの家族の居住者だけでも、私の概算で計算をいたしま
しても、空母だけで三千世帯、駆逐艦その他の艦艇を合わせてほぼ同じ
ぐらいの人数、六千世帯、そんなものを横須賀や佐世保、そのほかのと
ころに、あるいはその周辺であっても住む余地なんかありませんよ、こ
れは。大体そんな広い海だってありはしないんだから。そういうことに
なりますれば、量の問題からしても配置の変更という、つまりいままで
政府が考えております一機動部隊程度、一機動部隊というのは空母三な
いし五、それにプラスされる一空母ごとの五ないし七の駆逐艦、こうい
う膨大な艦艇、具体的にはTF77という部隊が横須賀ないし佐世保を
根拠地にするということは量的な面からいってもあり得ないではない
か、こういう結論になったということ、あんたが幾ら答弁してもそうい
うことになりますよ。これはたいへんな問題ですから、私は今後関係委
員会等でわが党としては徹底的にこの責任を追及せざるを得ないと思
う。

 時間が制約されておりますので、あと二、三点お伺いをいたしまして
終わりたいと思いますけれども、核の問題、これについても関係委員会
でいままでもずいぶん追及をされてきたわけであります。そこで、これ
は政府はそういうことはあり得ないということをいままで繰り返し言っ
てきておりますけれども、われわれがいままで「ミッドウェー」が西海
岸を根拠地にして、あるいはグアム等を根拠地にしてやっている場合な
ら、あるいはそういうことも可能かもしらぬ、全く不可能ではないとい
うことも考えられます。それは核装備をはずしておいてきて日本へ寄港
するということ、まあ常識的には考えられませんけれども、しかし今度
は三年間帰らないんですよ、三年間帰らない。そうすると、そういうこ
とが日本に行きっぱなしですからね。行きっぱなしというよりも半年日
本にいて、半年は西太平洋ないしインド洋にいる。三年間根拠地に帰れ
ないということになりますれば、核の抑止力を第七艦隊の重要な戦略目
標にしているアメリカの艦隊がそういうことをするのかどうか、信じな
さいというのかもしらぬけれども、そういうことは常識的に考えられな
いと思いますけれども、これはどうなんですか。

○政府委員(大河原良雄君) これもかねがね政府が御答弁申し上
げておりますように、「ミッドウェー」そのものは核装備の可能な
機能を持っております。しかしながら、「ミッドウェー」の日本へ
の寄港にあたりましては、日米間の了解に反した措置をとることは
ないというふうに政府としては信じているわけでございます。
 そこで、補給の問題でございますが、先ほど私、御答弁申し上げ
ましたように、「ミッドウェー」の通常物資の補給はかなりの部分
が洋上で行なわれているというふうに御答弁申し上げました。核の
問題についてどういうふうに米側が現実に処理しているのか、ある
いは「ミッドウェー」が現実に洋上で持っているのか持っていない
のかということについては、米側として一切これはコメントしない
ということでございますから、その点について政府として何とも申
し上げることはできませんけれども、いずれにしましても事前協議
の対象となるべき重要な装備の変更について米側が日本政府との約
束に違反した措置に出ているということはないというふうに考えて
おるわけであります。

○片岡勝治君 「ミッドウェー」が横須賀に入りましたとき、二十一日
ですか、記者会見を行ないまして、そのときに艦長リチャード・J・シ
ュルト大佐に対して記者団が、核の問題について質問をしたところが、
米海軍としては核を積載しているかどうかは回答できません、こういう
答えをしているわけですよね。載せていなかったら載せていませんとな
ぜはっきり言わないのですか。だから国民は、横須賀市民は、ああやっ
ぱりこれは怪しいぞと言うのはあたりまえに思いますよ、これは。日本
への約束なら堂々と言いなさい、アメリカもそれから、艦長さんも、そ
のくらいのことを、日本としてなぜ要求できないのですか。艦長が言う
のですから、みんな疑っていますよ、ああやっぱりあるらしいと。ぼく
もそう思いますね。

○政府委員(大河原良雄君) 米国政府といたしましては核の所在につ
いてはいかなる場合にも一切コメントすることができない、またしない
というたてまえをずっととっているところでございまして、「ミッドウ
ェー」の艦長が核の問題について何もコメントできないという答弁をし
たということは、まさに一般的な原則に従っての措置であるというふう
に考えております。しかしながら重要な装備の変更という事前協議の対
象となるべき核の問題について米政府が日本政府の、日本の意に反した
行動に出ることはないというふうに政府としては確信しておるところで
ございます。

○片岡勝治君 意に反した行動はとらないであろう、信じなさい、こう
いうことでありますけれども、しかし、いまあなたもおっしゃったよう
に、核の問題については一切コメントできない、これがアメリカの核に
対する基本原則です。大統領権限であります。そのほうが優位になって
おるわけですよ、アメリカの戦略体制の上では。日本の事前協議の対象
事項よりも核に関する大統領権限のほうが優位に立っている。だとする
ならば、いまの艦長の発言どおり、発言はいみじくもそのことを私は明
確にしていると思う。ただ信じなさいだけでは、これはとてもわれわれ
としては理解できない。

 最後に、あと二点簡単に質問をいたします。事前協議の対象になるに
は直接戦闘作戦行動にかかる補給活動についても事前協議の対象にな
る、これはそういうことになっております。かつて戦車問題でたいへん
騒がれましたけれども、アメリカの戦車を日本で修理をしてベトナムに
持っていった、直接、これはベトナム戦争中であります。これも非常に
明確でありながら、この補給活動は事前協議の対象になるべきはずのも
のである。終わっちゃったことですから、それはそうだったなと政府は
いまお考えになっているかもしらぬけれども、こういう点はどうなんで
すか。

○政府委員(大河原良雄君) 事前協議の主題とされておりますのは、
日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての施設・区域の
使用というのが政府の従来から一貫して御説明しているところでござい
ます。その観点におきまして通常の補給活動はその意味の戦闘作戦行動
のための基地としての使用ということには該当しないというのが政府の
これも一貫した御答弁であるわけでございまして、ただいま御指摘ござ
いましたベトナムヘの物資の補給はその意味では事前協議の対象となる
ものではないわけでございます。

○片岡勝治君 そうすると、戦闘部隊に補給するいわゆる補給活動も具
体的に事前協議の対象になり得る条件というのは考えられませんね。ベ
トナム戦争で戦っている米軍に対して戦車を送り食糧を送り、弾薬を送
り燃料を送る。ほとんど日本が基地として行なわれやってきたわけで
す。これが事前協議の対象にならないとすると、いままで政府は、戦闘
部隊に対する直接戦闘にかかわる補給行動というものは、これは事前協
議の対象になるんだという一貫した答弁があったわけであります。具体
的には考えられませんね。どういう場合にこれなるのですか。

○政府委員(大河原良雄君) 戦闘作戦行動とは、直接戦闘に従事する
ことを目的とした軍事行動をさすものであるというふうに政府は従来か
ら御説明いたしております。わが国の施設・区域を発進基地として使用
するような戦闘作戦行動で典型的なものとしてはどういうものがあるか
ということになりますと、たとえば航空部隊によります爆撃、あるいは
空挺部隊の戦場への降下、あるいは地上部隊の上陸作戦と、こういうふ
うなものがまさに御指摘の戦闘作戦行動の典型的な場合であろうという
ふうに考えるわけでございます。従来から政府は、通常の軍隊に対する
補給は、この意味の直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動では
ないと、こういう見解を持って御答弁いたしておるわけであります。

○片岡勝治君 私が聞いておるのは、通常の軍隊ということじゃなく
て、ベトナム戦争のさなかに戦車が輸送されたわけでありますから、ア
メリカの陸軍ないし海兵隊ですか、あれは。直接戦闘をやっておるとこ
ろへ日本の基地を使って日本で修理してどんどん物資を送ったわけで
す。そういうものも事前協議の対象になるんだということは、いままで
何度も答弁しておるのですよ、この速記録を見ますと。そういう場合は
該当しないんだ、こういうことですか。ベトナム戦争にいろいろな物資
も送った、直接アメリカが戦っている軍隊に対して戦車を送った、こう
いう場合に……。

○政府委員(大河原良雄君) 戦車を輸送いたしますことは、軍隊に対
する補給ではございますが、事前協議の対象となります戦闘作戦行動の
ための基地使用、これには該当しないというのが政府の従来からの方針
でございます。

○片岡勝治君 そんなのありますか、じゃ一体何ですか、補給活動とい
うのは。戦車はだめで、じゃあ大砲はどうなんですか。弾薬、これも日
本の弾薬庫からだいぶ運んだわけですよ。弾薬、戦車はいいんだと、戦
車がいいということは考えられませんね、これは。戦車というのは字の
とおり戦う車ですからね。一体どういうことなんですかね。これも全然
事前協議の対象にならぬということですね、そうすると補給活動の。
 それから時間がありませんからもう一つ、これも昔の話ですから、私
は政府としたってたまには失敗というか、そういうものもあっていいと
思うのですよ。

 あのときはやっぱり事前協議の対象にすべきだったというふう
に私はあってもいいと思うのです。政府だって神さまじゃないん
だから。そこでこれもベトナム戦争のときに、昨年ですか、四月
三日に横須賀から当時「オクラホマシティ」、これはさっき申し
上げましたが、第七艦隊の旗艦です。それから航空母艦の「コン
ステレーション」というのがありまして、これもたいへん大きな
船でありますけれども、これが非常にベトナム戦争が拡大をした
というときに、突如としてここから出港して行ったわけです。あ
んまりあわてて行ったので、船員を全部乗せきれずに忘れてしま
ったというふうな、そういう事件があったほどあわてて行った。
そうしてトンキン湾へ行って、そこから航空母艦を爆撃する、あ
るいは艦砲射撃をやったというのが、当時のアメリカ軍も、そう
して北ベトナムの報道にもあったわけです。

 どう計算しても、四月三日あたふたと出て行ったこの「オクラ
ホマシティ」、航空母艦「コンステレーション」その他の艦艇が
トンキン湾へ行って攻撃を開始
した時間を考えるというと途中寄ったということはとうてい考え
られない。フルスピードでそこまで行って攻撃をした、こういう
ことでありますけれども、あのときは事前協議の対象にすべきだ
ったのではないですか、これはどうですか。

○政府委員(大河原良雄君) これもかねがね政府が国会で御答弁
申し上げているところでございますが、事前協議の主題となります
日本の施設・区域を使用して、米軍が戦闘作戦行動のための基地と
するということが事前協議の主題になるわけでございまして、その
戦闘作戦行動というのは、直接戦闘に従事することを目的とした軍
事行動をさす、こういうことでございまして、直接戦闘に従事とい
うことが一つの考え方の基本にあるわけでございます。そこで従来
から政府が申し上げておりますように、航空部隊によります、たと
えば爆撃。一つの例をとりますならば、かりにB52が沖繩から発
進して爆撃行動を行なうという場合は、まさに典型的な戦闘作戦行
動のための施設・区域の使用ということになると考えますが、その
意味では直接戦闘に従事ということが一つの基準になっておるとい
うことでございます。

○片岡勝治君 そうですか。そうするといま私が言ったのは航空母艦
「コンステレーション」が行って、あそこから飛び立って北ベトナムを
爆撃した、横須賀から直接行って。そうすると、航空母艦の場合には事
前協議の対象になるということはあり得ないわけですね。それから巡洋
艦が艦砲射撃をかりにやったという場合、この場合には、艦砲射撃をや
っておるわけでありますから、これもそうするとあれですか、だめとい
うことになりますれば、これまた海軍の場合の直接戦闘作戦行動として
の基地の利用、そういうものはあり得ないということになりますね。ち
ょっと航空母艦のことと、それからいま戦艦というのないのですけれど
も、巡洋艦が行って艦砲射撃をやったという、これは現にやっています
けれども、航空母艦はどうなんですか。

○政府委員(大河原良雄君) 米軍がわが国の施設・区域から発進しま
す際の任務、態様、これがこのような行動のための施設・区域の使用に
該当する場合には、事前協議の対象となるということでございまして、
その任務、態様のいかんによってそこは分かれてくるところでございま
す。

○片岡勝治君 そうですよ、まことにそのとおりです。ですから私は言
っているのです。これはこれから想定されることじゃなくて、かつてあ
った、現実の、具体的な事項を申し上げて聞いているのですよ、いまお
っしゃったそういうところから、基地のこの使用のしかた、任務、そう
いうことからすれば、横須賀から出て行った「コンステレーション」
が、そこから飛び立った飛行機が北ベトナムを爆撃した、そういうこと
について、具体的にどうだったのかと、こう言ったのです。それも対象
になりますよというなら、そうはっきりおっしゃってください。航空母
艦の場合はだめですよと、こういうふうに。

○政府委員(大河原良雄君) 航空母艦ということをもってとらえるの
ではございませんで、わが国の施設・区域から発進してまいります際の
任務、態様のいかんによってそれが分かれてくるという御答弁をいたし
ておるわけであります。

○片岡勝治君 だから、これは明らかに北ベトナムへ行ってやりなさい
という任務を負って現にやったんですからね。現にやったんですよ。も
う歴史的事実があるじゃないですか。これからの想定の問題じゃないん
ですよ。これはひとつ他日答弁していただきたいと思います、時間が参
りましたので。

 そういうふうに、いまずっとこう来てみますと、海軍の場合には事前
協議の対象なんというのは、質の問題、艦艇の量の問題、それから補給
活動もだめだ、あるいは直接作戦行動も航空母艦の場合はだめだ。一
体、海軍の場合には事前協議の対象は何かというと何もないじゃないで
すか、結論的に。こうなりますと、いままで安保条約について事前協議
があたかも日本側のチェックの唯一の機能を果たすということで国民の
理解を求めようとしてきたことは、実はこういうふうに分析してみます
と、全部それはごまかしだ、ペテンだと言われてもいたしかたがありま
せんよ。私はそう思いますね。これほど国民を欺瞞する事前協議という
ことは全く残念であります。

 もっとほんとうは追及したいんでありますが、ちょっと時間が過ぎま
したので、以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。


○片岡勝治君(社会党=当時)
 『第一、「ミッドウェー」の横須賀の駐留というのは、その期間は
ほぼ三年である、これはいいですね。』

○政府委員(大河原良雄君) 
『空母「ミッドウェー」が横須賀周辺に家族を居住させておる期間はおおむね三年というふうに承知いたしております。』

1973年12月の参 院決算委員会で、大河原良雄外務省アメリカ局長が答えている。

関係して「事前協議の対象となるもの」についての応酬があり、興味深い。


  [001/001] 72 - 参 - 決算委員会 - 1号
  昭和48年12月19日

そこで、端的にこれから一つ一つ確認をしていきたいと思います
ので、ひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。これはいま
までの衆参両院における関係委員会あるいは本会議等におけるきわ
めて最近の政府関係者の答弁をいろいろ洗い出してみますと、この
「ミッドウェー」の寄港に関することについて次のような諸点が明
らかになっておるわけでありますが、これを一つ一つ確認をしてい
きたいと思います。

 第一、「ミッドウェー」の横須賀の駐留というのは、その期間は
ほぼ三年である、これはいいですね。

○政府委員(大河原良雄君) 空母「ミッドウェー」が横須賀周辺に家
族を居住させておる期間はおおむね三年というふうに承知いたしており
ます。

旧安保条約でアメリカは「必ず日本を防衛する」という義務はなかった
---昭和35年05月06日 の衆議院で岸首相が答えている。


「アメリカが。。。日本防衛をしない、また、そういう危険があ
った場合においても、そういうことができるかというならば、
この条約の精神からいっては、やはり実質的にアメリカとしては
、日本が脅かされた場合においては、これを守るということを規
定しているのだという意味のことを、従来制定の際以来説明をし
てきております。

 「しかしながら、それが条約上、規定上に明定されておらなか
ったという点だけは、これは事実でありまして、

 「従って、そこに一種のいわば国民的の不安があったと思います。

 「。。。それが条約上、文句の上において明定されているか、
どこにそういう明定があるかと言われると、とにかくそのことは不明確であったことは事実であります。

 「従って、現在までその点が非常に不安の種とされておったの
でありますが、今度の条約の第五条においては明定した、こうい
うことであります。」

****

これは、 昭和35年05月06日 の衆議院の 日米安全保障条約等特別
で岸首相が言ったもの。

 政府側は、
 「今度の新しい第五条では、双方の締約国が、この共通の危険に対処するように行動することを双方で宣言しているわけでございます。これは私は、双方の国がお互いに同時に行動することを宣言し合っておりますので、この点はっきり義務性と
申しますか、必ずやらなければならない、必ずやるんだという決意が、はっきりここには出ておると思います。」
と必死で弁護に回る。(高橋(通)政府委員)

 社会党(当時)の石橋(政)委員が、さらにたたみかける。

 「ところが、あなたの大先輩の西村条約局長は、そういう答弁
をしておりません。
 現行条約の第一条の(*米軍基地を)『使用することができ
る。』ということをもって義務がないというならば、
新しい条約の第五条のように
『共通の危険に対処するように行動することを宣言する。』と規定したって、
義務を負ったことにはなりません、
と言っている。
 「うそだと言うなら、ここであなたの大先輩の、同じ条約局長
の説明をそのまま読んでみましょうか。ちょっと長くなりますけ
れども、これは昭和二十六年の十月二十日の衆議院の特別委員会ですが、
『合衆国が最近締結いたしました本格的な安全保障条約(*NATOの
こと)におきましても、決して小川委員が想像になっておるよう
に、義務的規定において兵力行使の約束を与えてはおらないとい
うことに御注目を願いたいのであります。』
これはおそら
く小川半次委員の質問に対する答弁であると思います。」

さらに石橋議員は、
「大先輩の、同じ条約局長の説明」を引用する。

「一番完全だといわれている北大西洋条約においてすらも、第五
条をごらんになるとわかりますが、締約国の一国に対して武力攻
撃が発生した場合には、その他の締約国は武力行使を含むその他
のあらゆる措置をとって援助する、こうありまして、必ず武力
措置をとって防ぐとございません。」

(以上)





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