原子力空母の横須賀配備に反対するこれだけの理由
ハンス・クリステンセン
「空母--原子力の限界」より

原子力空母の横須賀配備に反対するこれだけの理由

 原子力空母が原子力発電であり、安全神話が崩壊した物騒なものを首都圏につきつける、という以外に、その横須賀母港化に反対する理由がたくさんあります。
 その一つは、原子力空母の横須賀母港化は、米軍から通常型空母がなくなり、原子力空母のみとなることからくる問題です。
空母母港自体、世界でたった1ヶ所しかないのに、原子力空母の横須賀母港化が実現すれば、米軍基地横須賀の永久使用がほぼ不可避となるのは間違いありません。
 当初の3年使用、の約束が30年を越え、今度は300年!?江戸幕府ではない!

原子力空母の横須賀配備の政府説明として、日本の防衛と、アジアの平和と安全に寄与する、というが、横須賀への前進配備がかかせない理由は実は、以下の点にあるのではないだろうか。
(1)空母11隻体制の効率的な展開にとって。
(2)とりわけ、オール原子力空母時代への対応として。
(3)世界規模で軍事協力をすすめる自衛隊、日本政府への圧力として。
   あるいは、世界的にレアな従順政権を最大限活用するために。

 (2)との関連で、ノーチラスのHPに、通常型空母と原子力推進型空母との違いを対比させた報告があります。

Hans M. Kristensen,The Nautilus Institute; William M. Arkin, Joshua Handler
Aircraft Carriers: The Limits of Nuclear Power
空母--原子力の限界

「Total Products: 669,758. Products. 100 Chicken Recipes. ... Ribbon Designer Series) Aircraft carriers: The limits of nuclear power (Neptune papers) ...
deals.no-ip.info/Catalog/Book」とあったので、出版されているもよう。

米ノーチラス 研究所ハンス・クリステンセン(研究員)およびウィリアム・ア−キンズ ヨシュア・ハンドラー

 もちろん、原子力空母配備をやめ、通常型空母の配備を、と言うつもりはない。
しかし、当初の3年使用の約束はどうなったのか?(沖縄の「15年」は?)それに、空母の横須賀母港返上によって、11隻体制は維持できるのか、と米政府に聞いてみたい。
 「1年の半分原子力発電を行う、安全神話が崩壊したものを、アメリカはその首都の直近に置くことを許しますか?」と。

以下、抄拙訳です。

Part I:
The Nuclear Carrier Mystique
原子力空母神話

 1976年から1988年までの13年間に、平均して通常型空母は毎年、全体で1,133日、326日の原子力空母にくらべてはるかに多くの航海日(sea days)の配備となった。

 同じ期間に、通常型空母は平均して1回の配備で150日を費し、原子力空母は平均で128日、通常型空母より15%少ない配備であった。

 これは、その修理期間の短さと海域でより少ない補給のため、通常型空母は原子力空母よりやや高い展開能力をもっている、との最近のGAOの報告と合致している。
 空母の展開稼動能力は、1艦当たりの生涯で数回繰り返し、稼動戦力の立案の基礎となる全就役サイクルによって、決められる。艦種によりバラつきはあるが、原子力空母は平均9年、通常型空母は平均6年が就役サイクルである。
 原子力空母にとって、このサイクルは84ヶ月(7年)の展開期間と、24ヶ月(2年)のオーバーホール期間となる。84ヶ月の展開期間には、各20ヶ月、都合4回の配備サイクル(4ヶ月の配備の中間期間をふくむ)がある。

The Rise and Fall of the All-Nuclear Force

 原子力空母が通常型空母より、その燃料交換の時期、積載量、スピードなどですぐれていると言う場合、何よりも空母は、それにお供する一連の艦隊からなる空母打撃群として動いてこそ、その威力を発揮することを忘れてはいけない。
 もし、(燃料・弾薬運搬船も原子力推進だとすれば吉本興業だが)それらの附随艦船が原子力推進になれば、横須賀港は原子力推進船で埋まることになる。
 原子炉が二つ、という程度の話ではなくなるのだ。

 1972年に太平洋艦隊の司令官は言った。「原子力および通常型双方の動力を持つ空母打撃群では、非原子力推進艦船と結婚(結合)させられるのだから、原子力推進がもつ多様な能力を全面的に活かすことができない」
 「この評価は、少し前のPaul Nitze海軍長官の、もし原子力推進空母打撃群が原子力推進艦船によってのみ護衛されていなければ、その増強された持久力は日の目を見ることができないとの結論に合致する。」
In other words, all-nuclear or not at all.
「要するに、すべてが核か、全くそうでないかだ。」
 再編でもっとも高いウェイトをおかれている自衛隊と米軍の共同作戦の中には、この原子力推進艦船がもつ多様な能力を全面的に活かすため、海上自衛隊の補給能力を質的に高め、両国の海軍力の結婚でこれを補う、という考えがないだろうか。

1979年3月、空母Nimitzは”エネルギー危機”への対応のため、通常の週五日勤務制から1日十時間、週五日の勤務体勢に変えた。


 20ヶ月の配備サイクルの内6ヶ月(30%)が、危機対応、母港から展開区域への運航に費やされる。残りの14ヶ月は配備(終了)後のstand down 休止(休暇leave、通常の維持や人員入れ替え)と保守、近代化、および艦船と航空団の訓練に使われる。この期間の艦隊活動は、配備サイクルのわずか5%を占めるだけだ。原子力空母の全9年(108ヶ月)におよぶ就航サイクルの間、配備時期はたった24ヶ月だけであり、これは全就役期間のおよそ22%となる。

 9年の原子力空母の就役サイクルの内、2年、つまり全体の22%が、その間全く配備されない大規模なオーバーホールに費やされる。休止や訓練、保守、オーバーホールに必要な時間を合計すると、原子力空母は、母港にいる時間より前進配備中の時間の方が少ない。
 原子力推進という負荷がないから、通常型空母の就役サイクルは原子力空母より短い。就航する五年間と、たった1年のオーバーホールの、都合6年間だ。1回の就航サイクルの配備は3サイクルだ。
 その結果、通常型空母はオーバーホールに就役サイクルの16.7%を費すだけで、
原子力空母のそれより24%少ない勘定だ。予定される50年の就役期間全体を通して、原子力空母はその3分の1を造船所で保守とオーバーホールのため費やす。通常型空母はほぼ同期間の就役期間の4分の1を造船所で過ごす。
 長期的に見て、原子力推進による原子力空母の活動範囲と行動への負荷は相当なものである。
(以上、PART 1)




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