基地再編協議は「同盟変革」のプロセスである

――ローレス米国防副次官の証言




    基地再編協議は「同盟変革」のプロセスである
――ローレス米国防副次官の証言


 米国防総省のリチャード・P・ローレス(Richard P. Lawless)
副次官は05年9月29日午後に開催された米上院外交委員会・
東アジア太平洋問題小委員会の「日米関係の見直し」(A Review of
U.S.-Japan Relations)に関する聴聞会で、日米安保関係につい
て証言した。以下はその冒頭発言の全文である。

       *      *      *     *
 マウロウスキー委員長、委員会のメンバー諸氏に、日本とアメ
リカの同盟関係について議論する場を与えてくださったことに感
謝する。本日ここに出席できて光栄である。

 米国と日本との間の安全保障関係が両国にとって、およびアジ
ア太平洋地域にとって死活的利益(vital interest)で
あることは言うまでもない。この関係はアジア太平洋地域の今日
見るような繁栄をもたらした平和と安定の基礎を提供してきた。
日米の安全保障関係は見通しうる将来にわたってその役割を果た
し続けるであろう。

 しかしながら、本日ここにわれわれ政府のものが出席している
本委員会のメンバー諸氏に多くの時間と場所をとらせている、
日々の新聞の見出しにあるようなあらゆる危機の中にあって、こ
のように重要な同盟関係を醸成し続けるという、わが国にとって
決定的な重要性をもつことを見損なうこともまたありがちである。

   米国をとりまく世界の変化のペースがかつてなく急速になって
いるので、米国と日本との間のような関係の醸成過程を、われわ
れがより速めることが要請されている。それゆえに当委員会が本
日適切な時期に、米国と日本の関係についてとりあげ、また、わ
れわれがとっている軌道(course)について関心をはらっている
ことを私は特に高く評価している。

 米国と日本は、約3年前の2002年12月に開催された国務
長官と国防長官およびその日本側のカウンターパートによる「2
+2」の会合で、軌道(course)を設定した。

 この「2+2」の会合で、米国と日本は変化する安全保障環境
の中で、われわれはそれぞれの防衛政策および安全保障政策の両国間
での見直し(bilateral review)を開始した。この見直しは以下
のことをふくんでいた――両国の役割と任務(bilateral
roles and missions)、両国の兵力と兵力構成(bilateral forces
and force structures)、地域およびグローバルな挑戦にたいす
る両国の協力、国際的な平和維持およびその他の多国籍による努
力への両国の参加、ミサイル防衛での協力、日本における米軍駐
留に関連する問題の解決の検討である。

 特に重要なことは、この会合にもとづいて、以下の5項目につ
いて実行することをうちだしたことである。

 第一は、戦略および脅威の相互の評価(bilateral
assessment)を行うこと。このプロセスでは、われわれは以下の
ことを検討することとした――国際的な環境、米国および日本が
それぞれもっている国益(interests)、われわれがそれぞれ直面
している挑戦、そしてこれらの挑戦に対してわれわれがどう対処
するかという、われわれの戦略の検討である。

 この作業は両国が2005年2月の「2+2」の会合で発表し
た「共通の戦略目標」に反映された。この文書において、米国と
日本は、われわれが共有している両国間の、地域的、かつグロー
バルで緊要な利益を、われわれ両国でこれらの利益のために達
成しようと望む共通の目標とともに、明確に規定した。

 第二は、われわれが3年前に設定した課題であるが、われわれ
共通の戦略的目標を達成するために、米国と日本それぞれが引き
受けなければならない異なった役割と任務の評価を行うというこ
とである。

 第三は、われわれのそれぞれの役割と任務を支援するため、ど
のように兵力構成を変化させればいいのかをわれわれが確定する
ために日米両国はそれぞれの兵力構成の評価に着手した。

 第四は、われわれは日本の内外における日米両国の兵力の基地
配置構成の検討を開始した。このことは国防総省のグローバル・
ポスチャー・レヴュー(世界規模の米軍の態勢の見直し)に関
連して米国で検討中の、日本における米軍の基地配置の再編をふ
くんでいる。それはまた、それに関連した日本の自衛隊の態勢
(posture)の再編成、また、米軍と自衛隊がそれぞれの役割と任
務を果たすための軍事力を準備するために必要な訓練と演習を実
施することについての検討をふくんでいる。

 第五、そして最後に、われわれは兵力のプレゼンスの問題の検
討と、日本における米軍駐留の継続への支援を確保するための措
置の検討を開始した。このことは必然的に日本における米軍の前
進配備について米国および日本の国民がひきつづき利益を見出し
うることを確保する手段に焦点をあてることとなるであろう。

 国防総省の視野からすると、この5項目のプロセスは態勢の再
編成の域をはるかに超えるものである。国際安全保障環境の変化
と安全保障問題に対する日本国民の態度の変化という二つの変化
をふまえ、凝縮して表現すれば、われわれはわれわれの同盟を変
革すること(to transform our alliance)を日本とともに実施し
ているのである。

 わたしは本委員会が日本の安全保障政策における進化
(evolution)にお気づきとは思うが、そのいくつかの例を述べて
みたい。1999年以来、日本は以下の進化をとげた・・
 ○ミサイル防衛について米国との共同研究に着手した  
○東チモールにおける国連の国家復興ミッションのため兵力を送った
 ○「不朽の自由作戦」の支援のために兵力を急派することを可
能とする法律を成立させ、その法律にもとづき10カ国の艦艇に
対して、無料で、洋上給油を実施している
 ○「イラクの自由作戦」の支援のために兵力を急派する法律を
成立させ、この法律にもとづき国家復興ミッションのためイラク
とクウェートに兵力を維持している
 ○緊急事態(contingencies)においてアメリカ軍を支援する権
限をふくむ、国家緊急事態(emergency situations)における中
央政府の権限を強化する法律を成立させた
 ○弾道ミサイル防衛を取得するプログラムを実施している
 ○ミサイル防衛の開発と生産を米国と共同して実施するため武
器輸出の規制を緩和するとの態度表明をした
 ○新しい防衛計画の大綱の文書を発表し、その中で日本の
国家安全保障と国際的な安定をリンクする認識を示し、またこの
観点から国際的な任務(international missions)に自衛隊が参
加するという役割の重要性を明示した

 さて、過去60年間の日本の安全保障政策の尺度で測ろうとす
れば、これらの発展は極めて重要(very significant)であると
いうことにわたしは同意する。米国はこれらの変化を世界中のほ
とんどの国々と同様に歓迎する。

 しかし、国際的な安全保障に貢献する日本の能力を日本のグロ
ーバルな国益と世界の平和と安定から日本が享受する利益で測ろ
うとするならば、これらの変化はきわめて控えめなものである。
それは、米日両国が米国の兵力と日本の兵力をいかに再編成する
かを検討しなければならないという文脈でのことなのであるから
である。

 われわれはともに、日本の安全保障政策が国際安全保障問題に
おいて、より能動的な役割を果たす動向(trend)にあることを見
ている。このことは歓迎すべき動向である。
しかし、
われわれはまた、この動向が結実するまでには少なからぬ時間が
かかるとも理解している。

 その結果、日本の中で予想される変化が起き、自衛隊がより多
くのことをできるようになることを期待しつつ、だが同時に、
米国の態勢の再編成に対し現在時点での必要性にもとづいて対応
しなければならない。

 もし、われわれがこうした変化をより低いレベルで予想するこ
とは、日本の地域との関係で無用な刺激を発生させ、われわれが
必要とするものよりもより多くの米軍の能力を日本に留まらせる
ことになり、逆にもし、こうした変化をより高いレベルで予想し
すぎれば、われわれは不可欠な同盟能力を削除しかねないだろう。

  このことがほかならぬ日本で、在日米軍の再編成にあたっ
て、基本的な問題としてホスト国(日本)が自分自身の将来につ
いてどのように決定しようとしているのかにかかっているという
ことの説明になっている。

 再編成というのは、単にわれわれのプレゼンスのサイズを縮小
するということではなく,海兵隊普天間航空基地の移設にあたって
実動可能な解決を導き出すことであり、あるいは指揮および統制
機能の再編成、あるいはミサイル防衛や情報・監視・偵察のよ
うな分野における作戦協力を拡大することを単に意味するのでも
ない。こうしたことがらすべてであって、なお、それ以上の
ものなのである。

 簡潔に言えば、これは本質的には、米国と日本が打ち立てた
「共通の戦略目標」の達成を保証する同盟変革
(transforming the alliance)なのである。そして、このことは
日米同盟が21世紀も引き続き、アジア太平洋地域の平和と安全
の基礎としての歴史的な役割を果たすことを保証するかどうかに
かかわるものなのである。

わたしは米国も日本も双方ともにこの機会をとらえ、それを追
求しようとしていることを確信している。

 しかし、それにもかかわらず、誰もが正しく行動していると思
っている時でもなお、われわれはトランスフォーメーションから
政府と官僚を妨げている、いつもの障害に直面している。

 それゆえに、両国が直面している問題は、われわれがこうした障
害にうちかてるかどうか、また正しく行動できるかどうかである
。われわれはできるとわたしは楽観している。そしてわたしはこ
れを年内に完了することができると期待している。

 本委員会で日本との同盟関係について議論する機会を与えてく
ださったことに重ねて感謝する。諸氏の質問に喜んでお答えする。


            (訳=松尾 高志・ジャーナリスト)                       




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