憲法九条は実際に役に立っているのか?

日本平和委員会の全国理事会での学習会(2004年9月11日)で
一橋大学教授の渡辺治さんが講演しています。

テーマは「いま、憲法第九条をどう語るか」。

一部、引用します(若干”てにをは”を変えた部分があります。中見出しは引用者)。
(平和新聞11月5日付--三回連載の<中>及び 11月15日付けの<下>です)

 多くの国民も「九条は支持したいが、実際に役に立っているのか?」という疑問があります。

 だが、憲法と現実が一致したことはないのです。たとえば憲法14条で男女平等、25条で生存権を保障しています。しかし、今の日本の社会で女性が平等に会社で働けることはないし、「健康で最低限度の生活」を多くの国民が完璧に享受していることもありません。
  
 憲法九条もそれと同じで、役に立っていないから現実に合わせる、ということにはなりません。なぜなら、憲法は国の羅針盤、政治の目標だからです。

 具体的に憲法九条にどんな力があるのでしょう。

一つは、自衛隊を「武力行使を目的に」出すことを食い止めてきたこと。

 もし憲法が何の役にも立たないのなら、イラク派兵したところで「改正」し、どしどしやればいい。それができないのは、九条が障害物になっているからです。
自衛隊は、少なくとも2001年のテロ対策特措法までは、(PKO以外)50年以上一度も海外に出ることはなかったし、今でも武力行使を目的に出ることはできません。
 また、自衛隊は世界の軍隊の中で人を一人も殺したことがない珍しい軍隊です。それこそが私たちが守ってきことです。(中略)

 戦争を知らない世代が(今)7割になった。こういう状態をもたらしたのは、九条を守ろう、という平和運動の力です。

 (九条のもとで)非核三原則、武器輸出禁止三原則があり、アメリカの艦船が核を積んで入港するのを防いできた。アメリカや軍事産業の、武器輸出の要求を食い止めてきた。イラクやアラブ諸国で日本に対する好感があるのは、侵略戦争をしなかったことや、九条の下で武器輸出を禁止してきたためです。

二つ目は、世界の平和に大きな貢献をしたという点です。

 1945年以降、アジアでは朝鮮戦争、ベトナム戦争、カンボジア侵攻などがありましたが、その戦争のほとんどはアメリカが中心でした。日本はそのどれにも参加していない。

 もし、憲法とわれわれの平和運動がなかったら、間違いなく、朝鮮戦争の時点から日本の軍隊が参加していたでしょう。そして、憲法改悪、日本の軍事大国化が進んでいたでしょう。(中略)

 ベトナム戦争当時、佐藤内閣に対してアメリカ政府が公式に五万人の軍隊の派兵を要請し、アジアの反共諸国は一定割合の軍隊を派遣しました。
 日本がこのとき派遣していれば、アジアの最強のアメリカ軍の追随軍隊として、(中略)ベトナムはもっと大きな被害を受けたと思います。

 アジアの平和とここまで維持してきたのは私たちの力であり、この力をもっと大きくするということが九条を世界のために役立てることになります。

 残念ながら、その力を世界に及ぼすところまでは至っていませんが、世界平和に貢献してきたことは、はっきりと見る必要があります。(略)

(下)
「憲法9条がよい、というが、自衛隊を外国に出さないで日本は平和を守れるのか」と言う人もいる。そういう人に対して、私たちはきちんと答えていくことです。

<日本が世界の平和と軍縮のイニシアチブを>
憲法は一国だけで実現するものではありません。アフガンやイラクで戦争が起こっているときに日本だけで九条(の精神)を完全に実現することはできません。

 それは日本が世界の平和、軍縮のイニシアチブをとっていくなかで、それを実現することができるわけです。支配層が言うように「一国平和主義」では、九条は進められません。

 一つは国連に対するイニシアチブです。武器輸出三原則を貫くことは、今の日本政府ではありえません。しかし(政府は)地雷禁止条約には賛成しています。日本が賛成すればアメリカがいくら反対してもそれを国連で通す力はあるのです。

 日本に本当に民主的な政府がつくられ、九条の原則を国際的な場でもって実現する為のイニシアチブを発揮すれば、九条は非常に大きな力になるはずです。

 それから、もう一つは9条を実現する為に、東アジアレベルで平和主体の構想を固めることです。多国籍企業や、大企業の横暴を規制するような経済政策と一緒に進めることを、積極的にリードし、国民にも訴えていくことです。

 最後に、改憲阻止の戦いをどう組織していくか。。。

 この運動を通じて改憲を阻止することができれば、日本の政治を大きく変えていくことができます。
 もちろん、今までやったことのない運動をやらないと。






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